別れは突然にやってきました。
午前中をアーチェリーで遊び終えると、Tashiさんから、「お昼ご飯を食べたら、ティンプーへと向かいましょう。ティンプーまでは遠いので、今夜はウォンディーに泊まります。」とのお話がありました。
理由は僕のバングラデシュビザの取得のためです。
僕の今後の旅の計画としては、ブータンの後、インドを一旦介し、バングラデシュへ北から入り、最終的に南にある首都ダッカまで下ります。
そして、そこから西へ進み、コルカタから再度インドに入る予定になっているのですが、このインド、バングラデシュは日本人でも入国に際してビザが必要なのです。
特にインドビザは手続きやルールが面倒臭く、事前取得が原則となっています。
さらに、僕の場合、インドには2回入国することになるので、ダブルビザもしくはマルチプルビザの取得が必要となってきます。
どちらの国のビザも日本で申請してこなかった僕は、旅の途中で、インドビザをブータンで、バングラデシュビザを国境で取ることにしていました。
しかし、Tashiさんの「バングラデシュビザも事前に取っておいた方がいいよ」とのアドバイスにより、急遽ここブータンでバングラデシュビザも申請させてもらうことにしたのです。
僕としても、可能であるならば、それに越したことはないので、素直に従うことにしました。
ただ、そのために本来は4泊ほどする予定だった農村ステイを短くする必要が出てきてしまい、そして、Tashiさんにインド大使館、バングラデシュ大使館と相談してもらった結果、急遽今日のお昼にここガンテを発つことになったのです。
状況を察したチンレーの「今日もうティンプーに行っちゃうの?」という質問には「うん。。。」としか答えられませんでした。。。
昼ご飯は、最後だから気持ちがそうさせているのか、単に舌がブータンの食事に慣れてきただけなのか、理由は分かりませんが、何故かやたら美味しく感じられました。
食事を済ませた後は、すぐに荷物をまとめる作業に取り掛かりました。
ここでは、チンレーとソナムが手伝ってくれました。
そして、ギュンパにチップを渡し、子供達にはブータンに着いたときにツアーで来ていた日本人のおばちゃんたちからもらったお菓子などをあげ、別れを告げました。
短い滞在で僕は何も出来ませんでしたが、ギュンパは最後「自分の息子のようだから、この先が心配だ。」と言ってくれました。
僕はそれに対し、ゾンカ語で「テルバリ シムガエラ(本当に嬉しいです)。カディンチェラ(ありがとうございます)。」と答えると、ギュンパはビターナッツで真っ赤になった歯を見せて笑ってくれました。
そして、僕が家を出て、下に降りると、出発の準備がすでに出来ていました。
ただ、僕のバックパックを下まで運び、車に乗せてくれたチンレーは僕に背を向けたまま、黙っています。
Tashiさんがそれを見て、「泣きそうだよ。私も涙出てきました。」と僕に言いました。
たった2日しか一緒にいられませんでしたが、それでもこうやって別れを惜しんでくれるチンレーに僕は嬉しさを感じると共に、僕の中にも込み上げて来るモノを感じました。
そして、そんなチンレーに僕は自分が日本にいるときからずっと着けているペンダントをあげることにしました。
ペンダントトップにはサメの歯が付いていて、ここ2日間、チンレーはよくそのサメの歯を触ったり、自分の歯に当ててサメのマネをしたりしていました。
一回も「欲しい」などとは言って来ませんでしたが、興味を持っていることは間違いなさそうでした。
僕はこのペンダントを何年も着けていてかなり大切にしていましたし、この旅で会った何人かの現地民に「それをくれ。」と言われることもありましたが、断固として断ってきました。
何しろ、何種類か持っているペンダントの中で、この旅を共にするのに選んだ唯一のペンダントです。
でも、チンレーにならこれをあげても厭わないと思いました。
ピロティ「チンレー、コレあげるよ。」
チンレー「……。」
ピロティ「これは俺の宝物だから、ちゃんと大切にしてな。なくすなよ。」
チンレー「……。」
チンレーは少し英語が喋れますが、お互い完璧ではないので、僕の言葉を完全に理解してくれたかどうかは分かりませんが、僕がそう言ってチンレーの首にペンダントを着けてあげると、チンレーは僕に背を向けたまま泣き出してしまいました。
それを見て、僕も泣きそうになってしまいましたが、グッとこらえ、チンレーを抱き寄せて頭を撫で、再会を誓うと共にお礼を言うだけにしました。
短い間でしたが、本当にいい農家(※)に農村ステイすることができました。
※このガンテの農家は、Gella Farm Houseと言うらしい。
良くしてくれたギュンパ、サンゲ、ソナム、そしてチンレーに感謝すると共に、いい農家を選んでくださったBhutan Retreatの三智子さん、Tashiさんにもお礼を言いたいと思います。
そんなこんなで、ガンテを出発し、ティンプーまでの経由地点ウォンディーを目指します。
最後は、オグロヅルまでもが近くまでお見送りに来てくれました。
写真1-a:お見送りに来てくれたオグロヅル①
写真1-b:お見送りに来てくれたオグロヅル②
写真2-a:お見送りに来てくれたオグロヅル③
写真2-b:お見送りに来てくれたオグロヅル④
午前中をアーチェリーで遊び終えると、Tashiさんから、「お昼ご飯を食べたら、ティンプーへと向かいましょう。ティンプーまでは遠いので、今夜はウォンディーに泊まります。」とのお話がありました。
理由は僕のバングラデシュビザの取得のためです。
僕の今後の旅の計画としては、ブータンの後、インドを一旦介し、バングラデシュへ北から入り、最終的に南にある首都ダッカまで下ります。
そして、そこから西へ進み、コルカタから再度インドに入る予定になっているのですが、このインド、バングラデシュは日本人でも入国に際してビザが必要なのです。
特にインドビザは手続きやルールが面倒臭く、事前取得が原則となっています。
さらに、僕の場合、インドには2回入国することになるので、ダブルビザもしくはマルチプルビザの取得が必要となってきます。
どちらの国のビザも日本で申請してこなかった僕は、旅の途中で、インドビザをブータンで、バングラデシュビザを国境で取ることにしていました。
しかし、Tashiさんの「バングラデシュビザも事前に取っておいた方がいいよ」とのアドバイスにより、急遽ここブータンでバングラデシュビザも申請させてもらうことにしたのです。
僕としても、可能であるならば、それに越したことはないので、素直に従うことにしました。
ただ、そのために本来は4泊ほどする予定だった農村ステイを短くする必要が出てきてしまい、そして、Tashiさんにインド大使館、バングラデシュ大使館と相談してもらった結果、急遽今日のお昼にここガンテを発つことになったのです。
状況を察したチンレーの「今日もうティンプーに行っちゃうの?」という質問には「うん。。。」としか答えられませんでした。。。
昼ご飯は、最後だから気持ちがそうさせているのか、単に舌がブータンの食事に慣れてきただけなのか、理由は分かりませんが、何故かやたら美味しく感じられました。
食事を済ませた後は、すぐに荷物をまとめる作業に取り掛かりました。
ここでは、チンレーとソナムが手伝ってくれました。
そして、ギュンパにチップを渡し、子供達にはブータンに着いたときにツアーで来ていた日本人のおばちゃんたちからもらったお菓子などをあげ、別れを告げました。
短い滞在で僕は何も出来ませんでしたが、ギュンパは最後「自分の息子のようだから、この先が心配だ。」と言ってくれました。
僕はそれに対し、ゾンカ語で「テルバリ シムガエラ(本当に嬉しいです)。カディンチェラ(ありがとうございます)。」と答えると、ギュンパはビターナッツで真っ赤になった歯を見せて笑ってくれました。
そして、僕が家を出て、下に降りると、出発の準備がすでに出来ていました。
ただ、僕のバックパックを下まで運び、車に乗せてくれたチンレーは僕に背を向けたまま、黙っています。
Tashiさんがそれを見て、「泣きそうだよ。私も涙出てきました。」と僕に言いました。
たった2日しか一緒にいられませんでしたが、それでもこうやって別れを惜しんでくれるチンレーに僕は嬉しさを感じると共に、僕の中にも込み上げて来るモノを感じました。
そして、そんなチンレーに僕は自分が日本にいるときからずっと着けているペンダントをあげることにしました。
ペンダントトップにはサメの歯が付いていて、ここ2日間、チンレーはよくそのサメの歯を触ったり、自分の歯に当ててサメのマネをしたりしていました。
一回も「欲しい」などとは言って来ませんでしたが、興味を持っていることは間違いなさそうでした。
僕はこのペンダントを何年も着けていてかなり大切にしていましたし、この旅で会った何人かの現地民に「それをくれ。」と言われることもありましたが、断固として断ってきました。
何しろ、何種類か持っているペンダントの中で、この旅を共にするのに選んだ唯一のペンダントです。
でも、チンレーにならこれをあげても厭わないと思いました。
ピロティ「チンレー、コレあげるよ。」
チンレー「……。」
ピロティ「これは俺の宝物だから、ちゃんと大切にしてな。なくすなよ。」
チンレー「……。」
チンレーは少し英語が喋れますが、お互い完璧ではないので、僕の言葉を完全に理解してくれたかどうかは分かりませんが、僕がそう言ってチンレーの首にペンダントを着けてあげると、チンレーは僕に背を向けたまま泣き出してしまいました。
それを見て、僕も泣きそうになってしまいましたが、グッとこらえ、チンレーを抱き寄せて頭を撫で、再会を誓うと共にお礼を言うだけにしました。
短い間でしたが、本当にいい農家(※)に農村ステイすることができました。
※このガンテの農家は、Gella Farm Houseと言うらしい。
良くしてくれたギュンパ、サンゲ、ソナム、そしてチンレーに感謝すると共に、いい農家を選んでくださったBhutan Retreatの三智子さん、Tashiさんにもお礼を言いたいと思います。
そんなこんなで、ガンテを出発し、ティンプーまでの経由地点ウォンディーを目指します。
最後は、オグロヅルまでもが近くまでお見送りに来てくれました。
写真1-a:お見送りに来てくれたオグロヅル①
写真1-b:お見送りに来てくれたオグロヅル②
写真2-a:お見送りに来てくれたオグロヅル③
写真2-b:お見送りに来てくれたオグロヅル④